抗体製剤は病気を完治させる薬!?

女の子

道端アンジェリカさんが「乾癬(かんせん)」の治療に使っている抗体製剤(生物学的製剤とかバイオ製剤ともいいます)は確かに画期的な薬です。

その特徴の1つは原因物質をピンポイントで抑えること。
乾癬では2010年にTNFαを抑える薬が2剤発売されたのをきっかけに、その後インターロイキン23やインターロイキン17を抑える薬が合計6剤も使えるように。
さらに今年3月には慢性じんま疹に対してIgEを抑える薬が発売され、アトピー性皮膚炎にもインターロイキン4やインターロイキン31を抑制する薬が開発中です。

もう1つの特徴はよく効くことです。
すべての患者さんではありませんが、全身に広がっていた乾癬がほとんど出なくなる人が何人もいます。
抗体製剤は2週あるいは4週に1度、定期的に皮ふに注射する薬です。通常は注射する間隔を延ばすと乾癬がまた出てくるので打ち続ける必要がありますが、不思議なことに、しばらく注射しなくてもほとんど出ない状態が続く方もおられます。

抗体製剤は素晴らしい薬ですが、課題もあります。
1つは、ピンポイントで抑える物質が病気の発症以外にも体の中で働いていることと関係しています。
例えばTNFαは乾癬を悪くしますが、結核などの感染症やガンを抑える免疫にも関係する物質です。そのため過去に結核やガンにかかった人は使えませんし、現在そのような病気が隠れていないか体中を詳しく調べてから投与し、投与中も定期的な検査が必要になります。

もう1つは薬の値段が高額なこと。
1ヶ月分の自己負担額が約4万円です(3割負担の人)!
日本では医療費を3割しか負担しなくて良い医療保険制度があってこの値段です。高額療養費制度というさらに素晴らしい制度をうまく使えば1.5〜2万円ぐらいになりますが、それでも高額ですね。

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